経営に効く知財戦略:弁理士が中小企業の右腕になる時代へ

弁理士スキル標準
目次

はじめに

「売上を伸ばしたい」「資金調達を有利にすすめたい」「技術を守って事業の強みにしたい」——これらは多くの中小企業経営者が日々抱える課題です。そして今、それを支える存在として注目されているのが「経営に強い弁理士」です。 本記事では、「令和元年度 弁理士に求められるスキル標準に関する調査報告書」をもとに、経営の視点から見た「使える弁理士」の特徴と活用法を、わかりやすく解説します。

弁理士の役割は「知財支援から経営支援」へ進化中

「弁理士=特許の出願代行」というイメージが根強いかもしれません。しかし、調査報告書では、経営戦略に寄り添うスキルが強く求められていることが明らかになっています。

出典:令和元年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究「弁理士に求められるスキル標準に関して」9ページ

特許や商標を「経営資源」として活かす力こそ、今後の弁理士に不可欠な視点です。

弁理士が経営に貢献できるシーン例

  • 新しい製品やサービスを出すとき:競合との違いや強みを特許でアピールできる
  • 業務提携・出資交渉のとき:技術的価値を「知財」として数字で見せる
  • 海外展開時:模倣リスクに備えた知財戦略を立案する
  • 資金調達時:特許や商標の知的資産としての評価を行う

これらに共通するのは、知財を「経営の言葉」に翻訳できる弁理士の存在です

調査が示す「経営に貢献する弁理士」像とは?

中小企業500社以上を対象にした調査によれば、満足度が高い弁理士の特徴には以下の傾向がありました。

支援内容満足度が高かった理由
経営層との対話(経営課題の理解)ビジネスモデルを理解してくれるので提案に納得感がある
知財の競合分析自社の立ち位置やリスクを数値で説明してくれる
M&Aや技術提携時の知財調査デューデリ時に役立つ情報を整理してくれる

具体例

  • 競合分析支援:A社は弁理士とともに自社と競合の特許出願傾向を可視化。結果、開発投資を避けるべき領域と強化すべき領域が明確に。
  • 事業計画書への知財活用:スタートアップB社は弁理士の助言で、自社特許を活用した強みの説明資料を投資家向けに整備。プレゼン成功率向上に貢献。

こうしたスキル標準の目指すところとして、特許庁では以下のようにまとめています。

出典:令和元年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究「弁理士に求められるスキル標準に関して」6ページ

弁理士を「経営支援のパートナー」として選ぶコツ

事業の話を聞いてくれるか

単なる出願処理ではなく、ビジネスの背景を理解しようとしてくれる人が理想です。

財務や契約の観点も意識しているか

財務デューデリや投資判断の場で、知財の価値をどう見せるかが鍵になります。

提案力と説明力があるか

経営層への報告や社内説得において、分かりやすく伝えてくれる力も重要です。

中小企業経営者の皆さんへ:明日からできること

  • 自社の「知的資産」を棚卸してみる(特許、ノウハウ、ブランド、データなど)
  • 弁理士に「知財で経営をよくしたい」と伝えてみる(雑談ベースでもOK)
  • 顧客・市場・競合と比べて“どこが違うか”を一緒に整理してみる
  • 将来売却や承継を想定して、知財の価値評価を進める

まとめ:経営に活かす知財、その第一歩は「対話」から

知財は、経営の意思決定にこそ活用すべき重要な資産です。そしてその意思決定に積極的に関与してくれる弁理士が必要です。

弁理士は「経営を支える知財パートナー」として、中小企業の力になります。

自社の未来に知財をどう活かすか—— それは、「経営者と弁理士が一緒に未来を設計する」ことから始まります。

IPアドバイザリーでは、中小企業やスタートアップの支援実績が豊富な弁理士とパートナー契約を結んでおり、うまく連携しながら中小企業の知財活動のお手伝いをしています。また、知財、経営、財務の視点を持ち合わせた知的財産アナリストが常駐しているほか、自社でも新規事業開発を行っています。中小企業のみなさんに寄り添った支援が可能だと自負しています。知財経営をはじめとした各種ご相談に対応しています。お気軽にお問い合わせください。

株式会社IPアドバイザリー
石川県野々市市にて特許関連の各種業務を行なっています。販路開拓や知財コンサル、特許翻訳のことなどどうぞお気軽にお問い合せください。
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