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特許出願からみる北陸のメタバースプレーヤー

目次

メタバースとは?

メタバース(metaverse)とは、英語のmeta(超越した)とuniverse(宇宙・世界)を合成した造語で、インターネットを通じてアクセスできる仮想世界や共有デジタル空間を指します。メタバースはインターネットの未来形ともいえるもので、ユーザはシミュレーションされた環境の中で互いに交流したり、さまざまなデジタルコンテンツにアクセスしたりすることができます。メタバースという用語は最近出現したものでありますが、その概念はゲームの世界において30年前から存在していたと言われています。

メタバース技術は、仮想的に拡張されたデジタルと物理的な現実を統合することによって開発されます。メタバースを実現するための要素技術としては、仮想現実、拡張現実、IoT、3Dグラフィックス、アバター、人工知能、ブロックチェーン、5Gネットワークなどが挙げられます。メタバースの目的は、より没入感のあるインタラクティブなオンライン体験を実現することです。エンターテインメント、ゲーム、教育、商業など、幅広い用途があります。

メタバースを構成する技術

上述したような仮想現実、拡張現実、3Dグラフィックスなど、メタバースの要素に関連して開発された技術のうち新規かつ革新的な技術の発明が、メタバースの特許となります。これらの特許には、下記のような幅広い技術が含まれます。

  • 仮想現実と拡張現実のためのハードウェアとソフトウェア
  • 3Dグラフィックスとアニメーション
  • アバターとキャラクターアニメーション
  • 仮想環境とランドスケープ
  • 仮想現実における対話と制御メカニズム
  • メタバースのためのブロックチェーン技術
  • メタバースにおける人工知能と機械学習
  • 仮想現実のためのネットワーキングと通信プロトコル
  • 仮想現実における決済および商取引システム

石川県のメタバースプレーヤー

日本でもメタバースに関する技術の開発が積極的にすすめられています。石川県のメタバースプレーヤーとして、oVice株式会社がよく知られています。

メタバース空間提供によって人々の生活から物理的制約をなくす

私たちは「人々の生活から物理的制約をなくす」というミッションのもと、ウェブ上で自由に動いて自由に話しかけられるメタバース空間「oVice(オヴィス)」を開発・提供しています。 2022年8月にシリーズBにて総額45億円の資金調達を実施。テレワークとオフィス出社が混在する「ハイブリッドワーク」においてシームレスなコミュニケーションを実現し、生産性を向上させるための環境構築を加速させつつ、海外展開を推進していきます。

同社HP   https://ovice.in/ja/about-us/

昨年開催されたMatching HUB Hokuriku 2022 において、『デジタル化と地方創生~北陸地域を活性化するDXとは~』というテーマで特別講演とパネルディスカッションが行われました。筆者も聴講させていただいており、パネリストとして参加されていたoVice株式会社代表取締役CEOジョン・セーヒョン氏のお話を興味深くうかがいました。とりわけ、「デジタル化」のことを「スマホ化」と定義されていたことが印象的でした。oVice株式会社は、今後の発展がますます期待されるスタートアップ企業です。

北陸3県のメタバース特許出願状況

上記で紹介したoVice株式会社のほかには、どのような企業がメタバース関連技術を開発しているのでしょうか。メタバース特許の出願状況を調べてみました。 特許検索では、J-PlatPat を使用しました。抽出する企業所在地の範囲を少し広げ、北陸3県(石川、富山、福井)を対象としました。メタバース特許に関するキーワードには、メタバースを含む概念である、仮想現実、拡張現実などを指定しました。具体的な検索式は下記をご参照ください。なお、期間は過去10年を範囲としています。

[石川県/BI+富山県/BI+福井県/BI]*[仮想現実/TX+拡張現実/TX+複合現実/TX+代替現実/TX+バーチャルリアリティ/TX+オーグメンテッドリアリティ/TX+ミクストリアリティ/TX+サブスティテューションリアリティ/TX+メタバース/TX+アバター/TX+メタバース/TX+仮想空間/TX+仮想環境/TX+Web3/TX]

上記検索式により149件の特許を抽出しました。複数の特許を出願していた企業または大学としては、oVice株式会社、ナレルシステム株式会社、スカパーJSAT株式会社、セーレン株式会社、株式会社インテック、株式会社PFU、富山大学、福井大学、金沢大学、金沢美術工芸大学などがあります。用途としては、仮想空間でユーザどうしが交流するもの、仮想空間で機械、住宅、衣服などの設計や測定を行うものに大きく分けられます。これらのメタバース関連の特許のなかからいくつかご紹介したいと思います。

紹介特許①

【公開番号】特開2022-179354(2022年4月19日出願)
【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
【出願人】oVice株式会社

WEB会議やVR会議において、セミナー聴講者がセミナー主催者に意思を伝達する際に、音声(たとえば「パチパチパチ」という音)を発信する。これにより、セミナー聴講者はより豊かなリアクションを表現することができ、セミナー主催者は自身の発言に対する聴講者のリアクションを確認することができ、セミナーを進行しやすくなる。

紹介特許②

【公開番号】特開2022-133109(2021年3月1日)
【発明の名称】仮想展示システム
【出願人】Virtualion株式会社

仮想空間の任意の場所に仮想展示物(12)を表示する際に、仮想展示物(12)が美しく表現されるよう、仮想展示物(12)を照明する仮想照明(14)の数、位置、方向、角度、色、照明範囲など(16)の照明条件を任意に調整することができる。※かっこ内の数字は下図における符号である。

紹介特許③

【公開番号】特開2020-113101(2019年1月15日)
【発明の名称】衣服の設計を支援する装置、方法、及びプログラム、並びに衣服を製造する方法
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン

衣服設計の際に、仮想空間でアバターに衣服を着装させるというシミュレーションを利用することで、着装状態にある衣服を設計する。アバターと衣服との間の環境(衣服内気候)も考慮することで設計を高精度に行うことができる。

紹介特許④

【公開番号】特開2020-77227(2018年11月8日出願)
【発明の名称】コミュニケーション提供システム及びコミュニケーション提供方法
【出願人】スカパーJSAT株式会社(発明者のうち2名が公立大学法人金沢美術工芸大学内)

仮想空間でのイベントを制御する。たとえば、誕生日に思い出の場所に訪れると、スマートフォンに昔の写真が表示され、バースデイソングが流れ始める、といったサプライズイベントを仕掛ける。また、所定の日時に所定の場所を訪れると仮想的な花火大会が開催されるといったイベントの設定も可能である。仮想空間においても、現実世界におけるコミュニケーションに似た楽しさや感動を生み出すことができるようにする。

メタバース技術の特許出願にあたり

メタバース特許は、基本的にソフトウェア特許と同様であると考えることができます。特許を取得することで、一定期間、その技術を使用したり、ライセンスにより収益化したり、売却したりする独占的な権利を得ることができます。また、特許を市場での競争力として、または投資を呼び込むための手段として利用することができます。ただし、他社の特許侵害の問題や、仮想世界での特許権行使可能性に関する疑義など、メタバース技術特有の課題や論争が発生する可能性にも配慮する必要があります。

本記事における特許検索は、メタバース関連特許をいくつか抽出することを目的として簡略的に行った検索です。メタバース特許に関するより正確な情報が必要な場合は、IPアドバイザリーの特許分析サービスをご利用ください。他の技術分野を含め、ご要望に応じた特許分析レポートを作成させていただきます。お気軽にお問い合わせください。

株式会社IPアドバイザリー
石川県白山市で特許分析サービスを提供しています

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